子宮頚がん、「クラス」と「ステージ」の違いって?

子宮頚がんと治療のこと

混乱しやすい「クラス」と「ステージ」

自治体や病院の婦人科で「子宮頸がん検診」を受けると、混乱するのが「クラス」と「ステージ」の違いではないでしょうか。

わたしたちが聞き慣れているのは、たぶん「ステージ」のほうですよね。だって、ドラマや映画では、ドクターが「彼女はステージ4で……」なんてよく言ってますし。わたしも「がんといえば、ステージ」だと思っていました。

ところが、ドクターからもらった検診の結果を見ると、「クラスⅢb」などと書いてある。
「んん? 『クラス』って何? 『ステージ』のこと?」
「だとしたら、私、いきなりステージ3? ステージって4がMAXだよね? ってことは、けっこう進行してる?」
と、めちゃくちゃ混乱したことを覚えています。

ということで今回は、がん患者さんが混乱しがちな「クラス」と「ステージ」の違いについて、わかりやすくまとめました。

子宮頸がんの検査には、2種類ある

まず抑えておきたいのは、子宮頸がんの検査には、次の2種類があるということ。
①検診などで行う「細胞診」
② 上記①の検診でがんの疑いが高いときに行う「精密検査」
です。

①の「細胞診」で使われるのが、クラス分類。
②の「精密検査」を受けて判定されるのが、ステージ分類です。

それぞれの検査では、
①「細胞診」(クラス分類)→がんの可能性があるかどうか
②「精密検査」(ステージ分類)→本当にがんなのか。がんなら体内でどれくらい広がっているか。
をチェックします。

わかりやすくまとめると、こんな感じです。

では、それぞれの分類について、次から見ていきましょう。

検診結果として通知される「細胞診」(クラス)の見方

まず、検診を受けて通知される「クラス」について。
これは、細胞診の結果を、次の5段階に分けたものです(パパニコロウ分類)

子宮頸がん検診を受けたことがある方は、この「Ⅰ」~「Ⅴ」の分類のいずれかの報告をもらったのではないでしょうか。

ちなみに、表の中に出てくる「異形細胞」とは、がん細胞ではないけれど、正常な細胞とは異なる細胞のこと。
この細胞が現れた状態が「異形成」です。
異形成の程度が軽ければ自然に元に戻ることもありますが、程度が進むとがん化する可能性が高くなります。

そこで、現在はクラス分類と合わせて、異形細胞(異形成)の状態を分類する「ベセスダシステム」という分類も行われています。次の表の「NILM」「LISI」「HSIL」……などの大文字のローマ字がベセスダシステムによる分類です。

現在では、この「ベセスダシステム分類」と「クラス分類」の両方が、患者さんに通知されることが多いようです。

実際、とりだまりがもらった細胞診の結果報告書には「クラスⅢb」「HSIL」とありました。
上の表と照らしあわせてみると、「子宮頸がん(上皮内がん)の可能性がかなり高い」ということがわかります。

実際にもらった報告書。クラス分類とベセスダシステム分類が両方記されています。

精密検査の結果でわかる「ステージ」

さて、検診でもらった細胞診の結果が「クラスⅢ」以上(「クラスⅢa」「クラスⅢb」「クラスⅣ」「クラスⅤ」)だった場合、子宮頸がんなどのがんの可能性が高いので、くわしい精密検査が必要になります。

精密検査では、主に以下のような検査を行います。
・コルポスコピー〔膣拡大鏡を使用したモニターチェック〕
・組織診    〔生体検査〕
・内診     〔触診〕
・腫瘍マーカー 〔血液検査〕
・経腟超音波検査〔画像診断〕
・MRI     〔画像診断〕
・CT      〔画像診断〕
・PET-CT   〔画像診断〕

これらの精密検査を経てわかるのが、本当に子宮頸がんにかかっているのかどうか。そして、実際に子宮頚がんだった場合の進行度を表す「ステージ」です。

「クラス」と「ステージ」の違い、なんとなくわかりましたでしょうか。これらの違いを知っておくと、「何がなにやら……」というパニックから抜け出せて、ちょっとだけ気持ちが落ち着くかもしれません。

自分の状態をきちんと知ること。それが、適切な治療の第一歩となるはずです。子宮頸がんが見つかった場合は、主治医のドクターと相談しながら、あなたにぴったりの治療法を選んでくださいね。

「クラス」「ステージ」について正確な情報を知りたい場合は、必ず主治医にご確認ください!

この記事の作成にあたっては、以下の書籍やサイトを参考にさせていただきました。
非常にわかりやすいので、くわしく知りたい方はぜひチェックしてください~。

『子宮がん・卵巣がん よりよい選択をするための完全ガイド』宇津木久仁子監修(講談社)
「Medical Note」サイト
「公益財団法人東京都予防医学協会」サイト
「がんメディカルサービス」サイト

ページ内の図表は、上記サイトを参考に、すべて筆者が作成しています。

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